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  • Tatehisa Ikeda 池田建学
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2017.10.14

第19回 ゴミ置き場などの清潔維持について

皆さん、こんにちは。今回は、ゴミ置き場などの清潔維持についてです。

 

地域によってゴミ収集のシステムは様々です。特に最近は各自治体ともゴミの分別が厳しくなってきています。地域によっては10種類近くの分別が求められることがあります。まず、入居者さんにその地域にあったゴミの出し方を周知徹底し、近隣住民とのトラブルにならないようにする必要があります。

 

ゴミの回収日は厳しく定められていて、指定外の日に出したり、指定日でも指定外のゴミや分別していないゴミを出したりすると、収集されないまま放置されます。管理人さんや清掃人さんには、ゴミの収集後、ゴミ置き場の洗浄が求められます、また、生ごみの収集日は、ゴミ置き場にネットをかぶせるなど、特にカラスに対する対策が必要です。

 

粗大ごみの不法投棄には、警告文を貼るなどして自主回収させ、それでも応じないときは自治体と相談して処理することになります。なお、粗大ごみも処理の方法は自治体によって異なりますので、一般ごみと同じように収集方法を入居者に伝えておかなければなりません。

 

入居者のモラルの問題ではありますが、大家さん、管理会社さんとしては、近隣と友好的な関係を結ぶことが大切です。賃貸借契約時や巡回点検のときに掲示するなど、入居者に対する啓蒙や意識の向上を図ることが結局は問題解決に繋がります。

 

ゴミ出しのルールを遵守し、食べ残しや食べかすを残して散らかさないように注意することはもちろん、動物にエサを与えることは絶対に禁止すべきです。また、空き缶やペットボトルの放置は、雨が降って水がたまると蚊の幼虫のボウフラが発生する原因になります。

 

みんなでよい住環境を創るという意識が大切ですね。

2017.09.15

第18回 ハウスクリーニングについて

皆さん、こんにちは。今日は、退去時に行うハウスクリーニングについて見てきましょう。

 

自主管理の大家さんなどは、自分でするという方もいらっしゃいますが、賃貸の経験上からいうと、それで業者さんが入ったときよりきれいなことはありません。案内に行ってもその差は歴然としています。

 

よくできたなと思うのは大家さんだけですので、もし、自分でやるから安くつくと思っている方がいれば、それは違いますよ!と言ってあげたいです。商品の付加価値を高めるものですから、専門業者に依頼して行うことが、結果的には経済的なのです。

 

このハウスクリーニングは現状回復工事と一緒に行います。退去者さんが退室時に掃除をしていくこともありますが、水周りや隅々など、手が届かない箇所や気づかないところなどは汚れが落ちにくいです。

 

台所・浴室・便所などの水周りは、食べ物を扱い、肌が触れるところですので、少しでも汚れていると次の入居者の心象を悪くする原因となります。後から使う人は汚れが残っていると気になるものです。

 

台所は、流し台の排水溝の中を忘れないようにします。食材の残りや目皿やくずかご等の「ぬめり」は取り除かなければなりません。また、コンロの脇の壁は、調理の油が飛び散っているので、油の除去を忘れないようにします。

 

浴室はカビが発生しやすいので、コーキングや目地のカビの除去、浴槽の湯赤の除去、排水口の目皿の髪の毛等の除去をする。また、天井の換気扇も洗浄する。ユニットバスの場合、鏡が劣化しやすいのでひどいときは交換が必要です。

 

トイレはタンクからの水の流出状況を確認し、場合によっては排水バルブ等を交換します。また、便器の裏側の汚れは放置すると後から汚れが流れ出てきますので、掃除しておかなければなりません。エアコンの内部やフィルターの洗浄、台所や便所の換気扇の洗浄、排水口の洗浄等も欠かせません。

 

以上、ハウスクリーニングについてでした。

2017.08.31

第17回 建物の漏水について

皆さん、こんにちは。今日は、建物の漏水について書こうと思います。

 

水漏れが発生した!!という時って、賃貸経営をしていると結構あると思います。できるだけそのようなことが発生しないようにあらかじめ防水工事を行うわけですが、防げないものもありますよね。それでは、見てみましょう。

 

水漏れの原因になる水の種類のは、上水(冷水・温水)・雑排水・汚水・雨水等いろいろあります。

 

雨水の漏水は、他の漏水と発生源が異なります。雨水による漏水は、最上階の場合、屋上や屋根・庇からの漏水で、中間階では、外壁や出窓もしくはベランダからの浸水が多いです。雨水の漏水の発生源を特定することは困難な場合が多いです。

 

屋上や屋根からは防水部材の劣化や破損によるものや、コンクリート等構造部材のクラックや破損によるもの、雨水排水設備の不良等ですが、いずれの場合も部分補修で漏水を止めるのは難しいです。場合によっては、防水の全面修理や排水設備のやり直しに発展することもあります。

 

外壁では、タイル壁の場合は、タイルの剥がれやクラック、目地やコーキングの劣化に起因する雨水の漏水が多いです。出窓の場合は、出窓の屋根と外壁との取り合い箇所やサッシ周りが主な原因となります。ベランダは、屋上のような完全防水ではなく、ウレタンの塗膜等の比較的簡易な防水の場合が多いので、床表面を傷つけたり、破損することによって漏水が発生します。

 

雨水以外の漏水では、まず、漏水している水の種類を特定します。雨水以外の漏水の発生源は、入居者の過失や不注意による水漏れを除けば、給水・排水配管からの漏水と考えられるからです。配管からの漏水の場合、露出部分に漏水箇所が発見できなければ、床下やスラブの埋設配管、壁の内側に隠れた配管と床や壁を壊さないと漏水箇所を見つけることはできません。

 

築年の古い建物では、床スラブや界壁等コンクリートのなかに配管していることがあり、コンクリートを壊さざるを得ないです。入居者は工事が終わるまで、一時的に避難させることになります。また、周辺の入居者にも工事による騒音や振動等迷惑を掛けますので、事前に十分説明して協力を得なければなりません。

 

これらの漏水事故に対し、工事費用や入居者等への損害金の支払いについては、損害保険により補填することは可能ですが、設備や配管の劣化が原因の場合は保険の対象外となりますので注意が必要です。一度保険証券を確認してみると良いでしょう。

 

室内で防水処理が施されているとことは浴室のみです。トイレもキッチンもほぼ防水されていませんので、洗濯機をあふれさせたり、流し台や洗面台の排水ホースが外れたりしていると、下の階への水漏れを起こす場合があります。

 

また、配管からの水漏れやトイレの詰まりを放置すると下の階へ漏水することになります。ベランダと部屋との境(壁の立ち上がり部分)は高くないので、大雨のとき、ベランダからの浸水に注意することも必要です。

 

いろいろと気を付けることがありそうですね。あらかじめリスクを予知して対応する。これが、費用を最小限に抑える秘訣だと思います。それでは。

2017.07.22

第16回 ペット飼育について

今回は、ペット飼育についてです。東京地方裁判所昭和62年3月2日の判例について見てみましょう。

 

賃貸借契約上、ペット飼育の禁止が規定されていない場合でも、通常許容される範囲を超えたペットの飼育があった場合には、契約解除が認められるとした事例です。

 

このケースでは、借主がペットを飼育することで建物を汚し、損傷し、近隣に損害・迷惑をかけることにより貸主に苦情が寄せられました。

 

裁判所は、ペットの飼育が居住に付随して通常許容される範囲を明らかに逸脱して、契約当事者間の信頼関係を破壊する程度に至ったと認められる限り、賃貸借契約における用法違反になるとして、解除及び明渡請求を認める判断をしました。

 

これまで、数回にわたり、用法違反について書いてきましたが、信頼関係を破壊されたと裁判所に認定されることが必要となりますから、契約違反の状況、貸主からの注意に対する対応、近隣からの苦情の有無とその内容など、事実をしっかり記録しておくことが大切になります。

 

管理業者あるいは大家さんは、このことをしっかり認識して賃貸経営に取り組む必要がありますね。

2017.06.13

第15回 貸室内での事件や事故の発生について

皆さん、こんにちは。今日は、貸室内での事件や事故の発生についてみてみようと思います。

 

1つは、東京地方裁判所平成5年11月30日の判例です。入居者さんが殺人事件を起こした場合に、連帯保証人に対して、賃料下落相当分の損害賠償を命じた事例です。これは、賃貸マンションの1室で、借主の男性が知人の女性を刺殺した後投身自殺したそうです。貸主は、連帯保証人に対して、当該物件について価値が下落したとして、損害賠償を請求した事案です。

 

裁判所は、事件を起こした男性には借主としての善管注意義務違反があり、マンションの価値、家賃の下落と変死事件との間には相当因果関係があると判断しました。マンションは変死事件後すぐには普通の家賃に戻すことができず、普通の価額で売却も不可能であるとして、連帯保証人である父親に対し、4年間の家賃下落分を含めた180万円の損害賠償を命じました。

 

もう1つは、東京地方裁判所平成19年8月10日の判例です。貸主が、借主に賃貸している建物を月6万円で貸していたところ、借主が室内で自殺しました。そのために、借主の相続人及び連帯保証人に対し、賃貸借契約における善管注意義務違反があったとして、損害賠償を請求した事案です。

 

裁判所は、賃貸借契約における賃借人は、賃貸目的物の引渡しを受けてからこれを返還するまでの間、賃貸目的物を善良な管理者と同様の注意義務を持って使用収益する義務があると言っています。

 

そして、賃借人の善管注意義務の対象には、賃貸目的物を物理的に損傷しないようにすることが含まれることはもちろんのこと、賃借人が賃貸目的物内において自殺をすれば、これにより心理的な嫌悪感が生じ、一定期間、賃貸に供することができなくなり、賃貸できたとしても相当賃料での賃貸ができなくなることは、常識的に考えても明らかであり、かつ、賃借人に賃貸目的物内で自殺しないように求めることが加重な負担を強いるものと考えられないから、賃貸目的物内で自殺しないようにすることも賃借人の善管注意義務の対象に含まれるというべきとしました。

 

貸主としては、借主が当該号室で自殺した後に、さらに賃貸するにあたりその部屋で自殺があったことを告知しなければならず、そうすると、常識的に考えて、心理的な嫌悪感により、一定期間、賃貸に供することができなくなり、その後賃貸できたとしても、一定期間、相当賃料での賃貸ができなくなることは明らかなのです。

 

そして、裁判所は、本件では、当該部屋を自殺事故から1年間賃貸できず、その後賃貸するに当たっても従前賃料の半額の月額3万円での賃貸しかできず、他方で、賃貸不能期間(1年間)と一契約期間(2年間)の経過後、すなわち自殺事故から3年後には、従前賃料の月額6万円での賃貸が可能になっていると推認するのが相当であるとの判断をしました。

 

管理会社としては、室内でお亡くなりになる方かどうかは判断できません。でも、社会上一定数いるという認識の上で保険などを活用してリスクヘッジをする必要があるのではないでしょうか?